大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(ネ)1086号・昭29年(ネ)1072号 判決

債権者が債務者に対して有する賃借権にもとずき本件土地の明渡を請求する権利及び債務者によつて侵奪された占有を回復して土地の明渡を請求する権利を保全する必要があると主張して本件仮処分決定を得たのに対し、債務者は異議を申立てたところ、原判決は債権者が債務者に対抗し得る賃借権を有することは認めず、ただ占有回復の訴による土地明渡請求権あること及びその保全の必要あることを認めて、右仮処分を認可したのであるが、債権者は原判決がその理由において債権者の賃借権を認めなかつたことを不服として本件控訴を提起したのである。しかし債権者が本件仮処分申請にあたつて主張した賃借権及び占有権はいずれもその仮処分申請を理由あらしめるための事由として並列択一的に主張するものであつて、その各事由ごとにそれぞれの仮処分を申請したものでないことは本件口頭弁論の全趣旨から明らかである。従つて原判決がその事由の一をとつてその仮処分決定を認可した以上、債権者はその申立の目的を達したものであり、原判決は債権者の申立を認容したものであつて、なんら債権者に不利益な裁判ではない。しからば原判決の理由の一部に、仮りに債権者の承服し難いものがあるとしても、そのことのために不服申立を許すべきものではない。すなわち、債権者の本件控訴は不適法であるからこれを却下すべきものである。

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